【連載#1-3】失敗しないPRパートナーの選び方──“未来を誰と描くか”という5つの視点

提案の華やかさでも、知名度でもない。“本当に選ぶべき軸”とは?

PR会社を選ぶとき──
つい、目に見えるものに引っ張られがちです。

  • 華やかな大手クライアント事例とメディア実績
  • 他社との取引例
  • 資料の完成度やプレゼンの勢い

けれど実際には、そうした“見た目”が必ずしも成功の要因ではありません。

むしろ、見積と資料だけで判断したがゆえの後悔こそ、現場では多く起きています。

では、何を見て選ぶべきか?
本稿では、広報を戦略資産として捉える視点から、
“失敗しないPRパートナー選び”のための5つの基準をお伝えします。


①「目的との接続力」があるか

まず最も重要なのは、自社の「何を変えたいのか」と接続できているか?です。

PRパートナーとは本来、
社会との関係性を再設計するための視座を共にできる戦略パートナーであるべきです。

よくある失敗例に──
「リリースは出してもらえたけど、経営課題とは結びついていない」
「成果報告が“掲載数”でしかない」
といった声があります。

つまり、“露出”を成果とみなしている間は、本質に届いていないということです。

広報の目的が「ブランドの信頼資産化」や「採用文脈の形成」「新規事業の社会実装支援」などであるなら、
パートナーもまた、“変化”に対する視座を持っていなければならないのです。


②「関係性の深さ」が担保されるか

スポット対応のみの関係性では、本質的な価値提供は難しくなります。

重要なのは、継続的に議論を積み重ねられる関係かどうかです。

  • 相談すれば返ってくる
  • 共に悩める
  • 必要なときに軌道修正してくれる

これは単なる相性や温度感ではなく、支援の姿勢と体制のあり方そのものにかかっています。

単なる委託ではなく、社内機能として外部人材を取り入れる構造があるかどうか。
そこに、施策の継続性と質が宿ります。


③「構造化して語れる力」があるか

成果を出しているPRパートナーは、必ず構造を共有できる言語を持っています。

  • なぜ今このテーマなのか
  • この切り口はどの社会文脈に接続しているのか
  • 広報が事業戦略とどう連動しているのか

ここで言う“構造”とは、単なる手順やフローではなく、
「社会の中でこの企業はどのような意味を持ちうるか?」という視点を、事業・広報・社会文脈から多面的に捉える知性です。

この視座がないまま「とりあえずリリースを出しましょう」と語るパートナーには、
中長期での成果創出は期待しづらいでしょう。


④「実行設計力」と「一貫性」があるか

提案段階での“よく見せよう”は、誰にでもできます。

問題はその後──
実務に入ってから、提案内容とズレが生じないかどうか。

  • プレゼンの担当者と実働メンバーが違う
  • 月次報告が“報告だけ”で終わっている
  • コンテンツのトーンがばらばら

こうした“現場の揺らぎ”が積み重なると、ブランドに不整合が生じます。

提案・戦略・運用が一貫しており、
誰が・いつ・どう動くかまで実行設計されていること。
これは、選定時に確認すべき最後の選定ポイントです。


⑤「思考と価値観の相性」があるか

最後に、見落とされがちなのが価値観の相性です。

これは「気が合うかどうか」ではなく、
「問いを共有できるか」「同じ地図で未来を描けるか」という観点です。

たとえば──

  • なぜ今、このテーマを伝えるのか?
  • 社会において自社の意義をどう捉えるか?
  • 何を語る/語らずにいるべきか?

こうした問いを共に考え、時に立ち止まってくれるパートナーかどうか。
それこそが、組織の言語感度と広報の知的体力を支える土台になります。


まとめ:選ぶということは、“未来を誰と描くか”を決めること

PRパートナーの選定とは、
単なる外注先選びではなく、
「どんな未来を、誰と、どう描くか」を決める意思決定です。

私たちMalenは、広報を「経営の翻訳装置」であり、
「信頼資産の設計機能」として捉えています。

成果を出すこと以上に、正しく問いを立て、社会と対話する構造をつくること。
それが、私たちが伴走する理由です。


本連載は以上で一区切りとなりますが、
広報を「企業成長の戦略資産」として捉えたい方へ、
今後も実践的な知見と視座を発信していきます。

まずは壁打ちからでも、お気軽にご相談ください。