【連載#2-2】広報体制を構築する5つのステップ──内製×外部支援の最適バランスとは

なぜ「広報体制の設計」が求められているのか

広報という仕事は、実行だけで成り立つものではありません。
“誰に、何を、どう伝えるか”を考え続ける営みであり、
それを支えるのが「思考できる体制」です。

しかし多くの企業では、こうした広報体制の設計そのものが後回しになっています。

  • 社内で誰がどこまで担うのか
  • 何を外部に任せるのか
  • どのレイヤーで思考と判断を繰り返すのか

これらが明確になっていないために、
広報活動が“作業の連続”になり、本来の意義を失ってしまうのです。

本稿では、Malenが数々の広報支援を通して蓄積してきた知見をもとに、
「広報体制をどう設計するか」──5つのステップに分けて整理していきます。


ステップ1:広報の“目的”を明文化する

体制構築において最も重要なのが、「何のための広報か」を言語化することです。

  • 新規事業の社会認知を得たいのか
  • 採用ブランディングとして機能させたいのか
  • リスク対応も含めた経営レイヤーの対話窓口としたいのか

この“広報に期待する成果”によって、必要な役割も、体制の形もまったく変わってきます。

目的なき体制設計は、時間とコストを浪費するだけでなく、
担当者が「何を基準に判断すればよいのか」がわからなくなる最大の原因となります。


ステップ2:社内の“持つべき機能”を決める

次に、「社内で持つべき広報機能」は何かを考えます。
この視点は、「全てを自社で賄う」ではなく、
どこを中核機能として内製するかを明確にする作業です。

たとえば──

  • 事業の細部や人の魅力を把握しきれるのは、やはり社内
  • 経営判断の背景を理解できるのも、組織の一員だからこそ
  • 日々の意思決定に、広報的視点を内在化させる必要がある

これらの観点から、
「情報の編集機能」「事業理解に基づく発信の軸づくり」などは、
社内で持ち続けることが望ましい領域です。


ステップ3:外部に委ねる“支援領域”を明確にする

反対に、「社内では補えない領域」は外部の知見を活用すべきです。
以下はMalenが担うことの多い典型的な支援領域です。

  • 第三者視点からのストーリー設計
  • 社会文脈に基づいた発信戦略の補正
  • メディアとの接点づくりと編集的な伴走
  • 担当者の“壁打ち”と、思考の補助線提供

ここで重要なのは、外部に委ねるのは「作業」ではなく「問いの設計」や「視座の補強」であるという発想です。


ステップ4:意思決定の回路を共有する

どんなに社内外の役割が分かれていても、
“判断の構造”が共有されていなければ、広報は機能しません

  • なぜこの表現を選んだのか
  • この情報を出すタイミングは何を根拠にしているのか
  • その判断は、どの価値基準に基づいているのか

こうした判断軸がチーム内で合意されているかどうかが、
体制の持続性と精度を決めます。

Malenでは、この「言語化されていない判断構造の可視化」に時間をかけ、
広報担当者とともに“思考できる関係性”を築いていきます。


ステップ5:体制を“変化するもの”として運用する

最後のステップは、「体制を常に変化させていく」という前提に立つことです。

  • 担当者が異動した
  • 組織のフェーズが変わった
  • 発信内容の主軸が変わった

こうした変化に合わせて、
広報体制も柔軟に再設計していく必要があります。

この柔軟性を持たせるためには、
固定的な役割設計ではなく、「広報の本質」を共に理解している関係性が不可欠です。


社内と外部で、“問い”を共有できているか

本稿では、広報体制の構築を「5つのステップ」に分けて整理しましたが、
すべてに共通して問われているのは、
「広報とは何か」を共に考えられる関係性を築けているかということです。

それは単に業務を分担するという話ではなく、
社内外で、問いの構造を共有できているかという話です。

Malenが提供しているのは、そうした関係性を長期的に育て、
体制が自然に進化していくような「土壌」の支援です。


次回予告

次回はシリーズ最終回。
「伴走から自走へ──Malenが支援してきた広報体制の成長と設計」と題し、
伴走型支援によってどのように組織が変わるのか、具体的なケースを交えてお伝えします。